炭焼き民話が伝わる『ダブルダイヤモンド富士』の聖地【田貫湖】

田貫湖(たぬきこ)は静岡県富士宮市にある人造湖で、元々の名称は狸沼(たぬきぬま)や『炭焼き藤次郎』という田貫湖に伝わる民話から「長者ヶ池」と呼ばれていましたが、1923年に発生した関東大震災によって芝川の水量が減少したことから、1935年には築堤及び貯水工事が始まり、1949年に現在の呼び名である「田貫湖」に改称されました。

田貫湖には限られた条件の時にのみ水面に映る「逆さ富士」や「ダイアモンド富士」といった富士山の絶景を撮影できる観光スポットで、更に限られた時期と条件の時にしか現れない「ダブルダイヤモンド富士の聖地」としても知られています。

長者ヶ池由来の民話『炭焼き藤次郎』

長者ヶ池由来の民話『炭焼き藤次郎』
田貫湖の名称の前は「長者ヶ池」と呼ばれていましたが、その由来となったのが『炭焼き藤次郎』という『鬼滅の刃』の主人公「竈門炭治郎」を思わせる、心やさしい炭焼きの若者が長者になる民話ですが、この炭焼き長者の民話は全国に存在していて、四国・九州では『炭焼き小五郎』で伝えられ、他の地域では、長次郎・松五郎・藤太・喜藤次などの名前を変えて青森から沖縄まで全国に伝えられています。

この全国に伝わる炭焼き長者の伝説の中心地は、大分県豊後にある「内山観音」に伝わる『真名野長者と般若姫』とされ、顔の一面に黒い痣がある玉津姫と炭焼き小五郎の物語で、『炭焼き長者』と『絵姿女房』の昔話を複合した形で語られてきました。

木炭は10000年以上前の縄文時代(新石器時代)から使われていたと推定されていて、火を使う刀鍛冶などの「たたら製鉄」には木炭は欠かせないもので、木炭の原料となる木が近場でなくなると、木の多い地区へ移動して製鉄をしていたことから、たたら製鉄と『炭焼き長者』の民話が全国に伝わったとされています。

古くより刀剣には特別な霊力が宿るとされ、刀鍛冶は錬金術師やサンカの黄金伝説とも縁が深く、長者さんと呼ばれた田貫次郎と後醍醐天皇の皇孫である尹良親王の昔話『尹良親王と延菊』も伝えられ、田貫湖畔北側にある「田貫神社」では、灯篭に十六菊花紋が刻まれ、御祭神は不詳となってますが、尹良親王と田貫次郎が祀られていると推測されています。

ダブルダイヤモンド富士の聖地【田貫湖】

ダブルダイヤモンド富士の聖地
ダイヤモンド富士とは、富士山頂と太陽が重なって山頂がダイヤモンドのように輝く光学現象で、富士山周辺にある山中湖や本栖湖など場所によって観測期間が異なりますが、日の出の時に「天に昇るダイヤモンド」と日没の時に「地に隠れるダイヤモンド」の2つのダイヤモンド富士を観測することができます。

田貫湖はダブルダイヤモンド富士の聖地として有名で、富士山頂がダイヤモンドのように輝く現象が、富士山頂と水面の合わせて2つ映ることから「ダブルダイヤモンド富士」と呼ばれ、年に2回の限られた時期と時間に、快晴の日で水面に波がない時にしか現れないことから「幻影の絶景」とも呼ばれています。

田貫湖でダブルダイヤモンド富士が見れる時期は年に2回しかなく「4月20日の1週間前後」と「8月20日の1週間前後」で山中湖と比べると短い期間限定で、天気が「快晴の日」で水面に富士山が綺麗に映る「風が静かな日」という条件が必要になります。

4月20日の1週間前後
日の出が6:00頃なので「北側駐車場前の桟橋付近は4月22日頃」「西岸の北端部分では4月23日頃」「休暇村富士前展望デッキでは4月24日頃」「南岸キャンプ場内展望テラスは4月25日頃」と北から南へと見れるポイントが移動します。
8月20日の1週間前後
日の出が6:08頃なので「南岸キャンプ場内展望テラスでは8月18日頃」「休暇村富士前展望デッキでは8月19日頃」「西岸の中央は8月20日頃」「西岸の北端部分では8月21日頃」「北側駐車場前の桟橋付近は8月22日頃」と4月とは逆に南から北へと見れるポイントが移動します。

雨乞い伝説『竜になった吉野長者の娘』

雨乞い伝説『竜になった吉野長者の娘』
田貫湖には『竜になった吉野長者の娘』という雨乞い伝説があり、むかし天間の福泉寺の近くに「吉野長者」という大金持ちが住んでいましたが、子宝に恵まれませんでした。

そこで夫婦は氏神(うじがみ)に一心に祈ったところ、女の子が生まれ夫婦はたいへん喜んで「たまき」という名をつけて、かわいがって育てました。

月日は流れ「たまき」が18歳になった年のこと『一度でよいから白糸の滝の近くにある大きな池を見たい』と両親にお願いしたので、さっそくカゴに乗せて、大勢の供をつけて長者ヶ池(田貫湖)へやりました。

長者ヶ池に着くと「たまき」はしばらく池をジッと見つめていると、にわかに暗雲がたれこめ、稲妻が走り雷がおこると「たまき」は竜(金龍、白龍、大蛇)となり池の中へ飛び込んでしまいました。

人々があっけにとられていると、池の中央にあらわれ『私は吉野の娘として生まれましたが、実はこの長者ヶ池の主です。訳あってどうしても池に帰らなければならなくなったのです。どうか私を大事に育ててくれた両親にくれぐれもよろしくお伝えください』と言うと、そのまま池の中へ消えてしまいました。

人々は急いで家に帰り「吉野長者」にそのことを話しましたら、夫婦は悲しんで「たまき」の寝床を調べてみると、まばゆい「金の鱗」が3片輝いていたそうです。

以来、日照りで困ったときは、池に祈念すると雨に恵まれ「水の神様」としてうやまったと云われています。

旅行の達人の観光ガイド

ダブルダイヤモンド富士は、限られた期間の中で、天気に恵まれ、風が止み、水面の波が穏やかな状態で、日の光が富士(22)を超えた先と、「太陽」と「幸運の女神」に愛されていないと綺麗に撮影することが非常に難しい絶景スポットです。

田貫湖には駐車場が5ヶ所以上ありますが、ダブルダイヤモンド富士の時期は混雑が予想されますので、事前に用意周到な準備と心構えが必要となります。

ダブルダイヤモンド富士の時期以外でも、完全予約制ですがキャンプ場が設けられていて、バーベキューや釣り、春には桜やツツジ、秋には紅葉とサイクリングしながら富士山の美しい風景を感じ取ることができる観光スポットです。

田貫湖の観光情報

スポット名】田貫湖(たぬきこ)
住所】静岡県富士宮市佐折634-1
交通アクセス
「富士宮駅」から富士急静岡バスの「休暇村行き」で45分⇒「田貫湖キャンプ場」で下車して徒歩5分
料金】入場料 無料
ホームページ田貫湖キャンプ場

田貫湖の地図情報

おすすめの記事