東京国立博物館は1872年(明治5年)に開館した日本の博物館の中で「最も長い歴史」を持つ「日本最古の博物館」で、日本と東洋の彫刻・美術品や刀剣・工芸品がおよそ「11万件以上収蔵」され「国宝」も数多く展示されています。
日本でも最大級の大きさを誇る「東京国立博物館の本館」では「刀剣」を数多く所蔵しており、日本刀の中でも特に名刀と呼ばれる5振の天下五剣(童子切安綱、三日月宗近、大典太光世、鬼丸国綱、数珠丸恒次)である「童子切安綱(どうじぎりやすつな)」と「三日月宗近(みかづきむねちか)」の二つの名刀が所蔵されています。
他にも現存する全ての日本刀中の最高傑作として知られる「大包平(おおかねひら)」や徳川家に祟る伝説の妖刀で知られる「村正(むらまさ)」等の多くの有名な名刀が所蔵され、国宝級の名刀の展示期間中は、世界中の日本刀ファンから毎回注目を集めています。
高校生以下や高齢者の方は【平常展が無料】
高校生以下及び18歳未満の方や満70歳以上の方は「年齢が分かる証明書(生徒手帳、健康保険証、運転免許証など)」を提示すれば総合文化展(平常展)の一般料金1000円が「無料」になります。(特別展の場合は別料金がかかります)
刀剣や重要文化財を展示する【国立博物館】
本館1階では「国宝」や「仏像」などの彫刻を「分野別」で作品を鑑賞することができる「分野別展示」と「企画展示」で構成され、一つの分野の作品を集中して見ることができます。
本館2階では縄文時代から江戸時代までの美術をたどる「日本美術の流れ」がテーマで、国宝や重要文化財などの作品を鑑賞しながら、日本の美術史をたどることができます。
東京国立博物館の見どころは「本館1階の13-2」にある「刀剣の展示エリア」で、日本刀は武器としての役割と共に美術品としても世界中から高く評価され、最近では「刀剣乱舞」等のゲームの影響もあり、三日月宗近、大包平、獅子王、鳴狐、大般若長光、厚藤四郎、小竜景光、亀甲貞宗、長曽祢虎徹等の名刀の展示が、若い女性を中心に人気を集めています。
fa-exclamation-triangle刀剣展示エリアは「12月2日(月)~2025年1月1日(水・祝)」まで閉室しています。
天下五剣【童子切安綱(どうじぎりやすつな)】
童子切安綱(どうじぎりやすつな)正式名称「伯耆安綱(名物 童子切安綱)」は平安時代の伯耆国の刀工「安綱」作の国宝の太刀で「天下五剣」の筆頭ともいえる刀として名を馳せて、試し斬りでは、積み重ねた罪人の死体六体を一太刀で輪切りにし、刃が土台まで達してた程の恐るべき切れ味を誇る「日本史上最強の刀」と云われています。
童子切安綱の由来は童子切の使い手として最も有名な「源頼光」が四天王(渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武)を従え、悪行の限りを尽くす大江山の鬼の首魁で日本三大妖怪にも数えられる「酒呑童子」の首を刎ねた(鬼切りの太刀)に由来します。
伝来は源氏の重宝とされ、室町時代に「足利将軍家」が所蔵し、「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」と、三英傑の手に渡り、後に徳川秀忠から津山藩「松平家」の家宝として継承されましたが、第二次世界大戦の混乱期に「松平子爵家」から個人所蔵家に移され、1962年に文化財保護委員会が買取り、1963年に東京国立博物館に移管されました。
童子切安綱の展示期間
童子切安綱の今後の展示予定
天下五剣【三日月宗近(みかづきむねちか)】
三日月宗近(みかづきむねちか)正式名称「三条宗近(名物 三日月宗近)」は平安時代の刀工「三条宗近」作の国宝で「天下五剣の中でも最も美しい」と評され、「名物中の名物」とも呼び慣わされる日本刀(太刀)です。
三日月宗近の由来は名刀の出自や伝来を公的に保証し格付けした『享保名物帳』に「三ヵ月と申 子細は三ヵ月形のうちのけ数々有之 依て名付けたる由」とあって、焼刃の模様である「刃文(はもん)に三日月状」のものが数多くあることが由来とされています。
伝来は剣豪として名高い「足利義輝」が所有し、三好政康から「豊臣秀吉」の正室高台院が所持し、その後、寛永元年(1624年)に遺品として徳川秀忠に贈られ、以来「徳川将軍家の所蔵」となった後、1951年に「国宝」に指定され、他の個人所蔵家に渡りますが、1992年(平成4年)に当時の所蔵者「渡邊誠一郎」から東京国立博物館に寄贈されました。
三日月宗近の展示期間
三日月宗近の今後の展示予定
日本刀の最高傑作【大包平(おおかねひら)】
大包平(おおかねひら)正式名称「古備前包平(名物 大包平)」は平安末期の刀工「備前包平」作の国宝で、現存する「全ての日本刀の中で最高傑作」と名高く、東の横綱と呼ばれる「童子切安綱」に対して西の横綱と呼ばれ、世に名高い名刀約250口を収録した『享保名物帳』に所載され、地鉄と刃文の美しさから「我が国第一の名刀」とも称されています。
大包平の由来は『享保名物帳』に「寸長き故名付く」と記され、包平が作った刀の中でも「最高の包平」という意味と寸法の長さから「大」が付けられ、刀身が薄く軽く丈夫に作られているだけでなく、刀身全体の重心バランスが良いため、重さを感じず振るいやすい作刀技術が高く評価されてます。
伝来は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの天下人に仕えた「池田輝政」の愛刀として知られ、数多くの刀剣を収集していた輝政にとって「大包平」は他には代えがたいものとして、江戸時代から300年近く岡山の「池田家」に代々受け継がれましたが、1967年に文化財保護委員会が買い上げ、現在は東京国立博物館に所蔵されています。
大包平の展示期間
大包平の今後の展示予定
重要文化財【獅子王(ししおう)】
獅子王(ししおう)は平安時代末期の「大和刀工」作の重要文化財の太刀で「獅子王」とは刀身に付けられた「号」であり、刀身自体は「無銘」となりますが、拵えと併せて「太刀 無銘(号 獅子王)附 黒漆太刀拵」と総称されています。
獅子王の由来は近衛天皇の時代(1141-1155年)に都を騒がせた怪物・鵺(ぬえ)を「源頼政」が仕留めた恩賞として下賜されたと『平家物語』と『源平盛衰記』で記されています。
伝来は頼政の子孫である竹田城城主「斎村政広」へと受け継がれましたが、関ヶ原の戦いで鳥取城下を焼き払った事が原因で「徳川家康」に切腹を命じられた際に没収され、その後「土岐家」に代々伝えられ、現在は東京国立博物館に所蔵されています。
獅子王の展示期間
珍しい打刀【鳴狐 (なきぎつね)】
鳴狐 (なきぎつね)は鎌倉時代の刀工「粟田口国吉」作の「打刀」で、鎌倉時代の作としては珍しく「差表に銘が掘られている」のが特徴とされ「粟田口国吉(号 鳴狐)」の名称で「重要文化財」に指定されています。
鳴狐の由来は不明とされていますが、一説では戦国時代に館林の城を築城する際に「狐」が尾を曳いて縄張りを示したという『狐の尾曳伝説』が残されており、城内には尾曳稲荷神社も鎮座していることが名に関連があったという説と、障子に映った「狐の怪物」を一刀にて両断した「断末魔」が由来ともされています。
伝来は「石黒甚右衛門」から館林藩主の「秋元家」に伝わり、1931年(昭和6年)に「旧国宝」指定を受け、その後は愛刀家「渡邊三郎」が所持しますが、1991年(平成3年)に子息の「渡邊誠一郎」が三日月宗近等の名刀と共に東京国立博物館に寄贈されました。
鳴狐の展示期間
日本刀の都市伝説【刀の回収命令を出した理由】
日本刀が、拳銃など他の武器と決定的に異なるのは、それを振るう者の心身と緊密な関わりを持つことだとされ、刀を使いこなすには日々厳しい鍛錬を積み、使う者が心身を極限まで磨き上げて、はじめて刀は十二分にその力を発揮します。
現代に伝わる名刀が妖しげな氣を帯びているのも、使っていた者が死に、刀と肉体が切り離されたあとも、その者がもっていた「強靭な精神」や「決死の殺気」を今も刀が宿しているからとも云われています。
戦後にGHQが直ちに日本刀の回収命令を出して、数多くの価値ある日本刀を潰したのは、刀が象徴していた日本人の強靭な精神を弱体化させて、自分たちが支配しやすい国民と国家を作り上げるためだったのかもしれません。
(信じるか信じないか「お主」次第でござる)
東京国立博物館の観光情報
【スポット名】東京国立博物館
【住所】東京都台東区上野公園13-9
【電話番号】03-3822-1111
【交通アクセス】
(1)JR上野駅公園口出口から徒歩約9分
(2)JR鶯谷駅南口出口から徒歩約10分
(3)東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅下車から徒歩15分
(4)京成電鉄 京成上野駅下車から徒歩15分
【料金】一般 1000円、大学生 500円
高校生以下及び18歳未満、満70歳以上 無料(証明書ご提示)
【営業時間】9時半~17時 金・土曜日は9時半~19時
(入館は閉館の30分前まで)
【定休日】月曜日、年末年始
月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館。
【ホームページ】公式サイトfa-external-link