『日本三大神滝』で呪術師の最強パワースポット【那智の滝】

那智の滝のある那智山一帯は古来よりなど全ての「自然信仰の聖地」であり、熊野古道は、他界(たかい)・異郷(いきょう)・常世(とこよ)への出入口とされ、熊野三山は「過去」「現世」「来世」をそれぞれ表した「よみがえりの地」と呼ばれ、仏教伝来後には、「死と再生」の日本第一の霊場(パワースポット)とされてきました。

「飛瀧神社(ひろうじんじゃ)」のご神体として古くから人々の畏敬を集めてきた「那智の滝」は、瀧篭修行の行場として扱われた48の滝である「那智四十八滝」の中でも「一の滝」とも呼ばれ、現在は『日本三大神滝(那智の滝、華厳の滝、布引の滝)』の一つにも選ばれています。

熊野那智滝は、「呪術師四天王(役小角・最澄・空海・安倍晴明)」とも縁が深い霊域で、平安時代からは皇族、貴族、武士から庶民までが熊野を参詣したことから「蟻の熊野詣」と呼ばれる歴史をもつ、三重の塔と那智の滝を1枚のフレームに納めた景観で有名な聖地です。

歴代の呪術師が集う最強パワースポット

歴代の呪術師が集う最強パワースポット
那智山一帯は元は自然信仰の聖地でしたが、『熊野山略記』には西国三十三カ所観音巡礼の一番札所である「青岸渡寺」を開山したとされる「裸形上人」や修験道の開祖で弱者を助ける仙人「役小角(えんのおづぬ)」や日本最高の天才と名高い「弘法大師・空海」をはじめ、伝教大使「最澄」・智証大使「円珍」・叡豪(えいごう)・範俊(はんしゅん)の高僧7名の「那智七先徳(七仙徳)」が集う聖地でもあります。

『熊野那智参詣曼荼羅』には、那智の滝壺でふたりに抱きかかえられている「文覚上人」の姿が描かれていますが、文覚上人は、冬に37日間の滝行を志して凍死。それを「不動明王」の使者の童子が現れて蘇生させたと伝えられてます。

史実としては、3年間滝本に籠もり類まれな祈祷の力を得たという「浄蔵(じょうぞう)」や『熊野那智大社文書』では「花山法皇」の千日籠山行などが知られ、『古事談』には、陰陽道の達人「安倍晴明」が那智の滝に打たれて千日間の修行をしたことが記されています。

修験道の根本は、厳しい修行を積むことで「一度死に、生まれ変わる」とされていますが、「文覚」の逸話が示す通り、那智の滝こそ「生まれ変わり=再生」で人生の再出発にふさわしい「甦りの聖地」とみなされていたことを物語ります。

日本三大神滝で日本三大名瀑【那智の滝】

日本三大神滝で日本三大名瀑【那智の滝】
那智の滝は日本三大神滝(那智の滝、華厳の滝、布引の滝)と日本三大名瀑(那智の滝、華厳の滝、袋田の滝)の両方に選ばれた滝で、落差133m、銚子口の幅13m、滝壺の深さは10mの落差で、「一段目の落差としては日本一の名瀑」です。

那智山に降る雨は、年間3000~4000ミリで、「雨の那智」と異名をとるほどの豊富な雨水を、周囲の原始林がしっかりと蓄え、滝の落口の岩盤に切れ目から三筋に分かれて流れ落ちるため「三筋の滝」ともいい、また四十八滝の中でも、那智の滝を代表するということから「那智の大滝」とも呼ばれています。

那智の滝は「滝そのものがご神体」で、かつては「飛龍権現」と呼ばれた神で、現在は「大己貴神(大国主神)」の御座所となっていますが、『那智参詣曼荼羅』には拝殿があったことが描かれ、「千手堂」は明治時代の廃仏分離の後に、お滝本祈祷所に変わっています。

隠された神を感じる【お滝拝所】

隠された神を感じる【お滝拝所】
飛瀧神社のお滝拝所では入場料として300円志納するとチケットではなく「古来よりのお守り」を頂き「那智の滝」をより近くで見ることが出来ます。

お滝拝所では「延命長寿のお瀧水」を飲むことが出来る「神盃(さかづき)」も100円で買うことができて「使った神盃は頂くことができます」ので記念品としてもオススメします。

熊野という名称の「クマ」には「こもる」という意味があり、この「こもる」は「神が隠(こも)る所」という意味で、那智の滝に隠された本当の神は、生命の根源をつかさどる「ムスヒ(産霊)」という説があり、別名では縄文の女神「瀬織津姫(セオリツヒメ)」とも呼ばれ、神道の大祓詞にも登場する重要な神で、「悪霊」や「日本に巣食う疫病」を祓う責務を促すとされています。

また、訪れる縁によっては、かつての神であった「飛龍権現」や現在の祭神である「大己貴神(大国主神)」、隠された本当の太陽神とも呼ばれる「饒速日命(ニギハヤヒ)」の姿が「写真などにもお目見え」することもあります。

熊野三山のシンボルで導きの神【八咫烏】

熊野三山のシンボル八咫烏
熊野三山のシンボルで知られる「八咫烏(やたがらす)」は、「物部氏(もののべし)」や「秦氏」と縁が深く、『古事記』や『日本書紀』だけで判断すれば、造化三神の1柱である高御産巣日神(タカミムスビ)によって遣わされ、「神武天皇」の道案内をしたとされる「導きの神」で「太陽の化身」ともされています。

熊野三山の「熊野本宮大社」では八咫烏には三本の足があり、それぞれ「天(天神地祇)」「地(自然環境)」「人」を表し「神と自然と人」が同じ太陽から生まれた兄弟であることを示すとされています。

八咫烏には影と光があり、カラスと金鵄(金色のトビ)が太陽と強い結びつきを持つ鳥とされていて、古代中国では三足烏が太陽に棲むとされ、『ギリシア神話』では太陽神アポロンはカラスを使いとしており、『アイヌの神話』ではカラスが太陽を救うとされ、八咫烏も太陽神(もしくは太陽神の使い)であると考え信仰されています。

カラスと太陽の結びつきについての理由は諸説ありますが「太陽にある黒点」をカラスだとする説があり、日本サッカー協会(JFA)のシンボルや熊野周辺を運行しているバス会社、熊野交通の社紋には八咫烏が採用されています。

自身の鬼を滅する修行の道【熊野古道】

自身の鬼を滅する修行の道【熊野古道】
熊野那智大社まで歩いて行くには、上りは「熊野古道 大門坂」は通らずに「飛瀧神社参道入口」近くにある古道から行くのが一番の近道です。

熊野古道は、古来より文明の対極から身を置き、日常生活の中で溜め込んだ「負のエネルギー」である、自身に存在する鬼(罪や煩悩)を滅する(祓い落とす)ための修行の道でもあり、ここを歩くことでしか得られない何かがあったとされてる参詣道です。

この道も熊野古道の一部で『ユネスコ世界文化遺産登録』となっている石畳の道で、熊野の山や滝、静けさと力強さ、光と影、さらには石や木といった自然のひとつひとつが、太古の記憶を呼び覚ます霊域として、世界中の多くの参詣者たちを魅了してきた古道です。

鬼滅の刃の青い彼岸花を示す【青岸渡寺】

鬼滅の刃の青い彼岸花を示す【青岸渡寺】
熊野那智大社と那智の滝の中間にある「青岸渡寺(せいがんとじ)」は西国三十三カ所ある一番札所であり、「三重の塔と那智の滝を1枚のフレームに納めた景観」で有名な場所で、この三重塔は昭和47年(1972年)に300年ぶりに復元された「高さ25m」の塔で、朱色の鮮やかな色が周囲の山々の緑に映えて、滝の変化も感じられる、美しい景観の三重塔です。

「三重の塔と那智の滝を1枚のフレームに納めた景観」は山と滝から感じる、常にそこにあるという存在と、常に留まることがない激動の変化を人生の中で確認してきました。

日本人はその山と滝から「神(=か =み)」を悟り、「死(0)と再生(∞)」という無限を超えた時に、はじめて最後のワンピース「甦がえり(1)」を手にすることができ、「弥勒(369)の太陽国(天国=高次元)」に至ったのかもしれません。

最近では映画『鬼滅の刃 無限列車編』が興行収入400億円以上という、日本の歴代映画興行ランキング1位の偉業を成し遂げ、映画業界や出版業界など、日本の多くの人々を救った国民的なマンガの『鬼滅の刃』には、「青い彼岸花」という重要な花がありますが、その花を手に入れた場所が名前も示す通り「青岸渡寺」のある熊野の地である可能性が高いとして、この場所の景観と熊野という自然の霊域が、世界中から注目を集めています。

旅行の達人の観光ガイド

那智の滝の車でのアクセスは駐車場がそれほど多くないので「JR紀伊勝浦駅」から「熊野交通バス」での交通手段がオススメです。

飛瀧神社参道入口から「那智の滝」までは200段程の階段がありますので足腰の悪い方は少し注意が必要です。

那智の滝から「熊野那智大社」までは「歩いて35分」程で行けますが、急な坂や階段が多いので、体力に自信のない方は「車で熊野那智大社の駐車場(有料)」まで行くか、那智勝浦の「紀の松島めぐり遊覧船」や「ご当地グルメのまぐろ丼」を食べに行くプランもオススメします。

那智の滝の観光情報

スポット名】飛瀧神社 那智の滝
住所】和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山
電話番号】0735-52-5311
交通アクセス
■那智勝浦駅からバスで25分
(熊野交通バス、那智山行き「滝前」下車 徒歩5分)

■車では、国道42号線より県道への入口より約25分
営業時間】飛瀧神社の拝観時間7:00~16:30
(季節により変動します)
定休日】なし
ホームページ公式サイト

那智の滝の地図情報

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